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1,横須賀米軍キャンプ編T
2,横須賀米軍キャンプ編U
3,東京時代 新宿編T
4,東京時代 新宿編U
5,新宿ダンサー編
6,B&B時代
7,B&B時代・続編
8,新宿ムゲン編
9,新宿ムゲン編U
10,徘徊から吉祥寺へ
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新宿ムゲン編U
<ケンボーとの出会い>
何時ものように俺がムゲンで踊っていると、独りの男が俺にバトルを仕掛けてきた!そいつのダンスは、俺と同じファンキーフルーツを踊るのだが今まで見たことが無いまるで忍者の様に飛んだり床を這ったりする凄まじいスタイルの、ファンキーフルーツだった。俺は闘争本能をむき出しに、他人の迷惑をかえりみずムゲンのフロアーをいっぱいに使いながらその男とバトッタ!俺はその頃あっちこっちのディスコダンスコンテストに出ては、優勝をかっさらっていたから少々バトルには自信があったが、結果は完敗である。誰がジャッジをする訳ではないがはっきりレベルの差を思い知らされた!フロアーを降りて、からからな喉をコーラで潤しているとそいつは、俺に関西弁で話掛けて来た。俺ケンボーじぶんは?お互いに自己紹介をし色々な雑談をした。ダンサー同士バトルが終われば直ぐ仲間になれるのは今も昔も変わらない。ケンボーの話によると中学生の頃に大阪で家出して一ヶ月して帰ってみたら、家族が夜逃げをしていてどこに行ったか解らなくなったので、そのまま大阪じゅうをバイトしながらうろついていたら、たまたまバイト先のディスコで、その頃大阪ダンス界の超大御所鉄平さんと知り合い弟子入りしてダンスを習ったらしい、その後持ち前の放浪僻で全国を点々とバイトしながらダンスの武者修業をし新宿に行き着いたらしい。色々な話を聞いたがどこまで本当か?は定かではないが兎に角凄いダンスを踊ることだけは確かである。それから俺は毎週ケンボーにつき全国の色々な奴等からケンボーが盗んできたダンスの技を教わった。ある日ケンボーは東京が気に入ったし、わしももう25歳に成るからそろそろ落着こうと思い、住む場所と定職を決めたから家へ遊びに来い、と奴らしからぬ言葉を吐いた。そんな訳でムゲンの朝帰り俺はケンボーの家について行った。その家は山の手線の大崎駅から15分ぐらい歩いたところにある漫画どくだみ荘さながらの汚いアパートの二階でバイト先の中華屋が用意した寮らしい?四畳半と六畳の二間に男三人ぐらしで、男やもめに蛆が湧くと言うレベルをこした住処である。ケンボーは四畳半まで土足で上がり六畳間に入る時始めて靴を脱いだ!部屋の中を見ると真夏なのにコタツが出しっぱなしで,ところ狭しと古雑誌にズリセンテッシュがちりばめられている。この部屋で唯一の座れる空間は天井にヌードポスターが貼ってあるカビの生えたシングルベットのみである。ケンボーは天井のポスターを指差し、見てみぃーあの染み昨日のズリセンの跡や凄いやろ!ケンボーの跳躍力はどうやらダンスだけでは無いらしい?俺はすかさずベットから降りて汚い床に座り直した。二週間前潰したゴキブリが放置されている床でもそのベットに座る事に比べれば遥かマシだと俺は感じたからである。それから数ヶ月後ケンボーは俺の前から姿を消したいつもの放浪僻が始まったのであろうと思い別に俺は心配はしていなかったし、ムゲンで毎週踊っていれば又ひょっこり俺の前に顔を出すだろうと思っていたから・・・・それから一ヶ月後ぐらいにディスコムゲンが潰れてしまった。ケンボーとの唯一の再会が出来るであろう?絆が切れた・・・大好きな踊り場とダンスの師匠がいっぺんに俺の前から消えた。まぁ俺がダンスを続けていれば、そのうちまたケンボーには会えるだろう! |